「えらい(方言)」の意味は?どこで使うかもドンと調査してみたよ

方言

「えらい」は辞書を引くと「偉い」だけではなく、「たいへん」という意味もあります。

この「たいへんさ」を表す言葉として「えらい」は、「疲れた~もうヘトヘト」という状態の時にポロっと出てくる表現としてピッタリなのでしょう。

疲れた時に「あ~えらかった」と言う地域は多いようです。

調べてみると、全国には「えらい」だけではなく、その地域特有の「たいへんさ」を表現する方言がたくさんありました。

どうしてその言い方になったのか不思議に思う方言や、英語並みに発音の難しい方言もありました。

皆さんどうやって発音しているのでしょう?もし、その土地に転勤になったら練習が必要なのでは?と心配になります。

この記事では、「えらい」の意味と使われている地域、そして各地の「えらい」に代わる方言をご紹介します。

また、静岡県や北海道では「えらい」を「たくさん」という意味でも使っています。北海道弁を駆使した北海道のあるある会話もぜひご覧ください。

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「えらい」方言の基本的な意味は?

「えらい」は①「すぐれている」という意味と、②「はなはだしい」「たいへんだ」という意味もあります。

えら・い【偉い・豪い】(形)

①すぐれている。

②はなはだしい。たいへんだ。

「ほおっておくと―になる・えらく大きい」

引用元:三省堂国語辞典 編者代表 金田一京助

「すぐれている」と「たいへんだ」は全く別の意味なので、「私、体がえらいんです」(私、体が大変なんです)など、知らない人から誤解を招くような会話が繰り広げられるのでしょう。

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「えらい」を駆使したご当地あるある会話をご紹介

「えらい」は、江戸時代に関東地方で「多い」の意味で使われていたとの記録がある。いまでも静岡あたりにその用法が残っている。

引用元:誤解されやすい方言小辞典 篠崎晃一著

このように「えらい」は「多い」という意味もあり、静岡県では「えらい(たくさんの)人だな」と数を表す方言として使われています。

「えらい」オンリーを使った日常会話

偉い、たいへん、多いとこれだけの意味があれば「えらい」だけでこんな会話になります。

「こないだえらい(偉い)人からお土産もらったんだけど、えらい(たくさん)くれて、持って帰るのにえらかった(大変だった)わ。アパートの階段のぼってえらかった(疲れた)さ」

「そりゃ、えらい(疲れた)しょ。エライエライ(偉い偉い)」

日頃、えらいを使わない人にとっては苦痛としか言いようのない会話です。

最近、外国人にも流暢に日本語を話す方がいますが、こればかりは理解に苦しむでしょう。

北海道弁を駆使したえらい会話

実は、北海道でも「たくさん」の意味として使われることがあります。

北海道弁の「しんどい」や「こわい」が加わると、このようなえらい会話になります。

「こないだえらい(偉い)人からお土産もらったんだけど、えらい(たくさん)くれて、持って帰るのえらい(とても)しんどかった(大変だった)わ。アパートの階段のぼってこわかった(疲れた)さ」

「そりゃ、だるい(疲れた)しょ。エラカッタ(偉かった)ね」

こうして文章にしてみると「なにこれ?」と思いますが、普段は普通の会話として成り立っています。

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「えらい」方言はどこで使われている?

大変さを表す「えらい」は一部地域だけではなく、全国に散らばっている印象があります。

中部地方や、九州を除く西日本の広い範囲で「骨が折れる」「疲れる」の意味でも使われる。自転車で急な坂道を登りきったとき、「いやー、えらかった」と言っても自分をほめているわけではないのである。長野生まれの島崎藤村の作品には「三年の子守はなかなかえらかった」という表現も出てくる。

引用元:誤解されやすい方言小辞典 篠崎晃一著

主に愛知県、福井県、三重県、岐阜県、滋賀県、鳥取県、島根県、岡山県、香川県で使われていますが、「えらい」と「しんどい」を半々使っているという地域もたくさんあるようです。

島崎藤村が生まれた長野県では「えらい」の他に「つらい」と言う方もあり、いちがいにこの県は「えらい」、この県は「つらい」と決めることはできないようです。

首都圏は各地から人が集まる都会なので当然ではありますが、「つらい」「だるい」そして「えらい」も使われれいるようです。

全国で使われている「えらい」以外の方言は?

全国各地にはその土地にピッタリの「たいへん」「つらい」を表現する方言があります。

「えらい」以外の方言をご紹介します。

北海道こわい」「しんどい」「だるい」→北海道ではどれを使ってもOKです。

下北弁「こえ」「ゆるぐね」

今朝はしばれて、ゆるぐねな。

(今朝は寒くて、大変だな)

福島県「こえ~」

秋田県こうぇぁ」→「こえ~」だけなら言いやすいですが、最後に「ぇぁ」とはかなりのハイレベル。

富山県「だやい」

昨日、張り切って運動したせいか、体がだやいよ。

(昨日、張り切って運動したから、体が疲れたよ)

石川県「はいだるい」→「つまらない」の意味でも使います。

宮城県「しんどい」「こわい」「だるい」「がおった

「今朝はずいぶん顔ががおってるよ?なんかあったの?」

(今朝はずいぶん顔が疲れているよ?何かあったの?)

群馬県、島根県くたびれた」→くたびれたを使う地域は多いようです。

栃木県「しんどい」「こわぐなった」

長野県「てきない」「てきねえ」→「できない」「できねえ」の方が言いやすいように思うのですが・・

埼玉県「だるい」「しんどい」「けったりー」→若者言葉ではなく、埼玉の方言です。

千葉県「かなつらい」

神奈川県「だるい」

静岡県「かんだるい」

奈良県「しんどいねん」

京都弁「しんどい」「ほっこりした

「たまった洗濯が終わって、ほっこりしたわ」

(たまっていた洗濯が終わって、疲れました)

大阪府「えらかった~」「しんどいわぁ」

名古屋弁「えりゃあ」「どえりゃあ」「どえらけねゃあ」

「えりゃあを笑う者は、えりゃあに泣く」

名古屋弁をマスターすることは、こんなにも大変だという意味の格言だそうです。

広島弁いたしい」→疲れただけでなく、どこか痛そうに聞こえる表現ですね。

土佐弁だれこけたちゃ」→誰か転んだわけではないんです。

徳島県せこい」「しんだい」

「風邪ひいてせこい

(風邪をひいて体が辛いです)

「仕事がはかどらなくてせこい

(仕事がすすまなくて大変です)

福岡県「きつか~」

佐賀県「きゃーなゅつ」→「ゅ」の発音は英語並みに難しいです。

大分県「よだきい」

由来は「よだけし」(古語の物事の状態が大げさである、面倒であるといった意味)、もしくは、殿様のよく言う「余は大儀じゃ」から変化したものと考えれています。

熊本県、長崎県「きゃーなえた」

鹿児島県宮崎県だれた」「ひんだれた」→「とても疲れた」時に使います。

「今日の仕事だれた!だれやめセットくいやんせ」

(今日の仕事は疲れた!だれやめセットください)

だれやめセット→疲れ止めセットなる居酒屋の定番メニューだそうです。

沖縄県うたたん

「料理作ったら、うたたん!」(料理を作って疲れた!)

「たいみそーちー」(お疲れ様)

もはや「えらい」を超えた(無視した?)数々の方言です。

この他にもいろいろとあるのでしょうね。いつか出会えることを楽しみにしています。

まとめ

「えらい」は「偉い」と「たいへん」、そして「多い」という意味がありました。

この「えらい」が体の大変さを表す言葉として浸透し、その土地に合った言い方に変わり、方言として今に至っていると思われます。

なぜこの言い方になったのか全く見当がつかない方言もありましたが、聞いて納得の由来があるのでしょう。残念なことに今はわかりません。

これから調べていくうちに新しい発見があるかもしれませんし、まだまだ楽しい方言が見つかるかもしれません。その時はご報告したいと思います。

それでは、「えらい」方言の意味と由来、全国各地の「えらい」に代わる方言と、北海道を含めたご当地あるある会話をご紹介しました。

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