もうだいぶ前ですが、夜のすすきのに臥薪嘗胆という食事処がありました。とても美味しかったので、何十年たった今もお店の名前を覚えています。
臥薪嘗胆を店名とした理由は「立派なお店にするために頑張るぞ!」みたいな意味なのかな?と思って調べると、予想以上のヘビーな意味と由来がありました。
店主の方はどれほどの決意をして店名にしたのだろう?と、あの時の素敵な店構えと美味しい料理に思いをはせています。
臥薪嘗胆を座右の銘にする方は多いようです。皆さんもちろん意味を知って、それと同じ覚悟で人生を送っていらっしゃるのでしょう。私の人生もこれで良いのかしら?と思わずにいられません。
この記事では、臥薪嘗胆の意味、由来、座右の銘にお勧めな方、類義語をご紹介します。
臥薪嘗胆(がしんしょうたん)の意味に驚いたわけ
臥薪嘗胆の意味を調べてみました。
がしん-しょうたん【臥薪嘗胆】
意味たきぎの上に寝て、苦いきもをなめる。
①かたきを討つため、自分の身を苦しめてその志が衰えないように励ますことのたとえ。
②目的を達成するために苦労に耐えることのたとえ。
構成漢文訓読では、「薪に臥(ふ)して胆を嘗(な)む」と読む。「臥薪」は、たきぎの上に寝ること。「臥」は、横になる。「薪」は、たきぎ。「嘗胆」は、苦いきもをなめること。「嘗」は、なめる。「胆」は、内臓の一つ、胆嚢(たんのう)。
引用元:大修館 四字熟語辞典
臥薪嘗胆の意味は「目的や成功を達成する為に、苦労に耐えること」です。
- 「臥薪」薪(まき)の上で横になること。
- 「嘗胆」胆は胆嚢で、魚の肝説が有力です。
サンマの肝もお酒好きの人には良いツマミになりますが、苦いので美味しくありません。食べるたびに「まずい!でも敵をやっつけるまで食べ続けるぞ!」と復讐を誓ったのでしょう。
臥薪嘗胆とは、かたきを討つ目的を果たすまでは、どんな苦労も乗り越える決意をあらわします。
オレ、ただのアリなんだけど化石になった意味ある?いつか復讐するぞ~
臥薪嘗胆の由来がヘビーなわけ
臥薪嘗胆の由来は、中国の歴史書である十八乨略(第7巻)と、前漢の武帝時代に司馬遷によって編纂された史記にあります。
出典夫差(ふさ)讎(あだ)を復せんと志し、朝夕(ちょうせき)薪中(しんちゅう)に臥し、出入するごとに人をして呼ばしめて曰(い)はく、夫差、而(なんぢ)越人の而の父を殺ししを忘れたるか、と。〈十八乨略、春秋戦国、吾〉
吾既に越を赦(ゆる)す。越王句腺践に反(かへ)り、乃(すなは)ち身を苦しめ思ひを焦がし、胆を坐に置き、坐臥(ざが)するごとに即(すなは)ち胆を仰ぎ、飲食するにも亦(ま)た胆を嘗(な)むるなり。曰はく、女(なんぢ)会稽の恥を忘れたるか、と。〈史記、越世家〉
引用元:大修館 四字熟語辞典
中国の春秋戦国時代の話です。
呉と越の国は敵対関係にありました。ある時、呉の王は越の王に討たれてしまいます。
呉王の息子である夫差は復讐を誓い、その憎しみを忘れないように毎晩、固い薪の上で眠ります(臥薪)。
そして、夫差はついに越王への復讐を果たしたものの、今度は越王が夫差への復讐に燃えます。越王は苦い肝を舐め続けて(嘗胆)、ついに夫差への復讐を晴らします。
この二人の復讐への決意を固めたものが「臥薪」と「嘗胆」だったというわけです。
でもこの歴史書は、辛い思いをして相手へ復讐してもそれで終わりではなく、いつか自分に返ってくるということも伝えたかったのではないかと思います。
薪に寝るって思いつきはスゴいけど、有りえないわ~
臥薪嘗胆を座右の銘にお勧めしたい方はズバリ
こんなに念の入った臥薪嘗胆を座右の銘にする方は、よほどの決心の持ち主です。
ズバリこんな方にお勧めします。
絶対にやり遂げたい目標がある方
目標がなければ、薪の上で寝ることも、サンマの肝を食べ続けることも出来ません。
たとえ、肝が苦かろうがマズかろうが食べ続け、「なんとしてもやるぞ!」という目標設定がある方のみ、臥薪嘗胆を座右の銘にすることをお勧めします。
あれ?サンマの肝って美味いじゃん!話が違う~
臥薪嘗胆の類義語もそうとうな決意が伝わってくる
臥薪嘗胆の類義語も、寝る場所や舐める物は違いますが、毎日辛い思いをすることで決意を新たにする意味の四字熟語です。
- 「座薪懸胆(ざしんけんたん)」硬い薪の上に座り、枕元に苦い肝を懸けて寝起きに舐めること。
- 「漆身呑炭(しっしんどんたん)」身体に漆を塗り、炭を呑むこと。
炭を呑む代わりに黒酢でもいい?
まとめ
臥薪嘗胆の意味は、「目的や成功を達成する為に、苦労に耐えること」です。
由来は、中国の歴史書である十八乨略と史記にあります。敵対国であった呉王と越王がお互いに復讐を決意し、その決意を忘れないように薪の上で寝たり、苦い肝を舐めながら、目的を達成するという話にあります。
座右の銘にお勧めな方は、何が何でも達成したい目標がある方です。生半可な決意ではなく、自分の人生を賭けてでも目標に突き進もうと決めた方へお勧めします。
類義語には、座薪懸胆、漆身呑炭があります。臥薪嘗胆とはやり方が違うものの、自ら、辛い状況を作り、それに耐えて目的を達成するという同じ意味があります。
この記事では、臥薪嘗胆の意味、由来、座右の銘にお勧めな方、類義語をご紹介しました。