雪の積もる地域において欠かせない冬の日課は雪かきです。そして、雪かき作業にはママさんダンプが必須です!
え?なにそれ?と思われた方、雪と縁のない地域にお住まいですね?
ママさんダンプとは、家の前に積もった雪を乗せて広場などへ運ぶことができる、豪雪地帯のお宅に必ずあると言っても過言ではない、愛すべき便利グッズなのです。
このママさんダンプ、北海道の方言と思われている方も多いようですが、それも致し方ありません。
北海道民の私もつい昨日までそう思っていました。
実際ママさんダンプは方言なのか?なぜママさんダンプと言われるようになったのか?気になる由来を調べてみました!
ママさんダンプは方言?
ずばり、ママさんダンプは方言ではありません!
除雪用ダンプはスノーダンプと呼ばれるのが一般的ですが、北海道では広くママさんダンプと呼ばれています。
方言のような可愛らしいネーミングですが、ママさんダンプ生みの親である新潟県の会社が命名した、れっきとした商品名なのです。
販売代理店のセーブ・インダストリー担当者さんにも確認したところ、「ママさんダンプも、パパさんダンプも商標登録した商品名なので方言ではないですよ~」とのことでした。
今日住所不備のお客様と電話しててこの写真の物が目印って言われたんですがそういえば「ママさんダンプ」って名称通じるの北海道だけ? pic.twitter.com/uDxfNhgviU
— ゆるっとuber&wolt@札幌 (@yuruttouber) June 26, 2022
ママさんダンプの由来は?
ママさんダンプ誕生秘話の前にこちらのスノーダンプの話がかかせません。それは・・
国鉄職員が使っていた木製スノーダンプ
日本で最初のスノーダンプは、北海道の国鉄職員が線路を除雪する為に使われていました。
これは木製ですが、ママさんダンプの原型になります。
引用元:北海道博物館
石川県の鉄製スノーダンプ2種類
石川県吉野谷村の鉄工所経営者が作った「スノッパ」と呼ばれる鉄製スノーダンプがあります。
こちらは昭和36年頃、石炭用の大型スコップをヒントに作られ、今も現役です。
地域の為の便利屋さん「お松の手」様に、クマ武2台を溶接修理してもらいました😊
— しんごぼう (@shin_gobo) March 29, 2022
次の冬もスノーダンプ5台体制でやります。 pic.twitter.com/n4tci0DsB6
同じく石川県の積雪量が最も多い白峰地区でも鉄製スノーダンプが誕生していました。
こちらは昭和37年末から1か月間、2階の屋根まで到達するほどの雪が降り続いた三八豪雪と呼ばれる記録的豪雪の苦労を経て開発されました。
1枚のトタン板をヒントに作られた形は農工具の箕に似ている為、地域の方はこのスノーダンプのことを「み」と呼ぶそうです。
ついにママさんダンプ誕生!名前の由来は?
昭和60年新潟県で画期的なスノーダンプが誕生します。
新潟県をはじめ、東北や北陸地域の農家では、農閑期の冬場は首都圏などへ出稼ぎへ行くお父さんが多く、大変な除雪作業は残された年配者、女性、子供の仕事でした。
鉄製の重たいスノーダンプにずっしりとした雪を乗せて運ぶことがどれほど大変だったかと思います。
もっと軽くて使いやすいスノーダンプが欲しいという声は多かったものの、軽量化すれば固まった雪を取ったり、氷の入った雪に当たれば割れてしまうという難点がありました。
そして10年間の試行錯誤のすえ、プラスチック製の先端に金具を取り付けるなどの工夫をし、ついにスノーダンプの軽量化に成功!
小柄な女性が扱いやすいように持ち手も短くしました。
おつかれにっち〜♪
— ほくにっち君 (@hokunitchikun) February 23, 2022
ママさんダンプからジョンバに代えて掘り進めようとしたけど量が多すぎにっちな〜
手作業は厳しいのでとりあえず雪と戯れることに変更したにっちよ〜
みんなおやすみにっち〜♪
#ほくにっち君 #除雪大好き #とりあえず遊びに変更 #にち拓 pic.twitter.com/TAvMglPTZ6
このスノーダンプのネーミングは社内公募で募りました。
「ママさん」という応募もある中、いまひとつ決め手がなく、煮詰まった担当者さんが気分転換に入った喫茶店で思わず、「ママさん、コーヒー!」と頼んだことが命名の決め手となりました。
「ママさん」のホンワカとした暖かい響きと「ダンプ」というたくましさが合体し、頑張り屋のママさんが使うスノーダンプにぴったりなネーミングになりました!
ちなみにママさんダンプを開発した製造会社を継承するかたちで、現在はグリーンパル株式会社がママさんダンプを展開、販売しています。
ママさんに負けじ!とパパさんダンプも活躍中です!
まとめ
北海道に住む私たちは気軽に「ママさんダンプ」と呼んでいましたが、それは新潟県の大変な除雪作業をする人々の声から誕生した待望のスノーダンプの名前でした。
その後、新潟県出身の総理大臣であった田中角栄氏が「出稼ぎしなくても雪国で暮らせるように」と唱えた日本列島改造論を機に、全国で公共事業が増え、出稼ぎへ行かなくても生活ができる人々が増えたそうです。
でも、雪国にとって今でも除雪作業は命がけです。時には屋根に上がって雪下ろしをしないとなりません。
いつか、屋根の雪が簡単に落ちて、すぐさま溶けてなくなってしまうマシンができますように!