誰もが一度は青タンを作った経験があると思います。私も小さい頃はもちろん、3年前には青タンを超えるものを作りだした青タン名人です。
ぶつけた皮膚は赤、青、黄へ変わり、順番は違えど信号機のように変化します。色の変化を見ながら、「もうそろそろ治るかな?薬をつけなくても治るんだなぁ」と感心したものです。
「青タン」という言葉は全国区で使われているかと思いきや、「青タン?知らないけど」という地域もあるようです。
それはもったいない!ということで、青タン名人の私が「青タン全国制覇」を目指してひと頑張りしようと調べてみると、発祥地はなんと我がまち北海道でした。
そうだとすると、北海道からどのように各地に広まっていったのかが気になります。
この記事では「青タン」の意味、発祥地、由来、青タンの作り方、他の地方で使われている青タンに代わる方言をご紹介します。
「青タン」の意味はとてもシンプル
「青タン」の意味は「青痣(あおあざ)」です。
あお-たん【青たん】アヲ-
〘名〙〈俗〉青痣(あおあざ)。
引用元:明鏡国語辞典第二版 大修館書店
体のどこかを強くぶつけると、赤から次第に青色や紫色なります。これは皮膚の下にある毛細血管が破れて、にじみ出てきた血が青く見えるからです。
この状態を「あおたん」と言います。
あおたんの由来は北海道の若者が遊んだ花札から?
「あおたん」の由来を調べると、北海道の若者が使い始めて全国に広がったと書かれています。
(中略)ちなみに、最近よく耳にする「あおたん」という言い方は、もともと北海道の若者が使い始めた新しい方言が全国に広がったものだ。
引用元:それ行け!方言探偵団 篠崎晃一著
新しい方言とありますが、長い歴史のある方言世界では新しいと言っても昭和か、それより前かもしれません。
由来には「花札の青タンと呼ばれる短冊の色がアザの色に似ているから」という説があります。
わたしの父親は昭和初期の生まれですが、若い頃は東京へ仕事に行っていたそうです。
特に雪が多い地域で、今よりももっと寒さが厳しかった頃は冬の仕事が限られるので、本州へ出稼ぎに行く人も多かったようです。
そして、出稼ぎ先の唯一の楽しみは花札くらいしかなかったかもしれません。北海道の若者が花札に興じながら、「こないだぶつけてアザになったところ、花札の青タンの色そっくり!」と言い始めたのではないでしょうか。
こうして、全国に出稼ぎに行った若者たちが「あおたん」を浸透させ、今のように全国各地で使われるようになったのかもしれません。その中には父もいたのかもしれないと想像すると、不思議な気持ちになります。
ただ、花札=賭け事と敬遠してしまう方もいるので、同じ東京でも上品な土地柄には受け入れなかったようです。
たぶん北海道の人は、「あおたん」が花札から誕生しようが、青いタンコブの略だろうがお構いなく、言いやすいから使っているのだと思います。
いたた~これあおたんになるなぁ
あおたん素晴らしい!ホシよっつ!
青タンの作り方を名人の体験談から学ぼう
青タン名人である私がいちばん打撃を受けた青タン体験談をご紹介します。
これから足腰が弱るにあたり、名人芸に磨きがかかると思いますが、青タンだけで済むようにしたいものです。
遅刻から学ぶケガの功名編
私は小学生から遅刻する人でした。社会人になっても、遅刻ギリギリ出勤を何十年も続けていたのですが、この青タン事件以来、遅刻は激減。ケガの功名です。
実は周囲も啞然とするほどの躓きっぷりで、2メートル離れた自分の机まで飛んで行って、机の角に顔面を強打しました。
鼻が曲がり、唇が肥大化し、しばらくは青タン仮面で出勤するという大惨事でしたが、幸い骨には異常がありませんでした。
上司や後輩たちの心配する声に笑いをこらえる雰囲気を感じた時、「明日から走らずに出勤しよう」と誓いました。
逆上がりから学ぶ引力の法則編
運動音痴を自負する私、小学校で鉄棒の逆上がりができない人は私を入れて数名でした。そのため、体育の授業では人一倍練習させられました。
そして運命の日。
「えいっ!」と足を蹴り上げて、「やった!逆上がった⁉」と思った瞬間、なぜか両手を離しました。
もちろん、両手を離して逆上がりができる人はこの世におらず、頭から落下。この時も奇跡的に青タンですみました。
私には「なにくそ!」という反骨精神はないので、この日から鉄棒には触らないようにしています。
他の地域で「痣」のことをなんて言う?
強くぶつけて出来た「痣 アザ」の青タン以外の方言を調べてみました。
実は、茨木、千葉には、「打ち身によって生じた内出血の痕」を表す「あおなじみ」という方言がある。皮膚が変色していく様子を「青くにじむ」と表現したのが由来だとも言われている。わかりやすい名付け方だ。(前後省略)
引用元:「それ行け!方言探偵団 篠崎晃一著」
茨木県、千葉県では「あおなじみ」と言います。皮膚が青くにじんでいく様子が目に見えるようです。
各地で使われている方言も様々でした。
- あおじ、あおじに、あおじんたん
- くろじ、くろじに、くろじん
- くろずみ
- くろなじみ、くろなじり
- くろに、くろにね、くろね
- ずくろじん
- 血が死んでる
- ぶちる、ぶちてる
- ぶんず色
くろじになったよ
おめでとう!今日はお寿司にしましょ!
まとめ
「青タン」の意味は「青痣 あおあざ」です。
北海道の若者が広めたとされる「あおたん」は方言の世界では新人ですが、北海道をはじめ、全国にも使用者がいます。
「花札の青タンの色と似ているから」という由来説では、北海道から出稼ぎに行った若者が全国に浸透させていった経緯が考えられます。でも賭け事から誕生したということで、上品な土地柄には浸透しなかったようです。
茨城県、千葉県では「あおなじみ」、それ以外では「くろなじみ」など、青から遠ざかる方言もありました。
体のどこかをぶつけてしまったら、患部を冷やすことが良いとされますが、それでも青タンになります。でも本来の「みずから治ろう」という体の力が働いて、ちゃんと元通りになりますので暖かい目で見守りましょう。
この記事では「青タン」の意味、発祥地、由来、青タンの作り方、他の地方で使われている「痣」の方言をご紹介しました。