「あずましい(方言)」の意味と使い方!北国での会話も自由自在だよ

方言

北海道の方言には何があるかな?と最初に思いつくのは「あずましい」です。

どこかホッとする、気持ちが緩むような言葉ではありませんか?

反対の意味になる「あずましくない」と合わせて、時には敬語として使ってしまうという大胆さは北海道民ならではかもしれません。

また、北海道だけでなく青森県でも「あずましい」は通じるようです。

この言葉を難なく会話に取り入れれば、あなたも今日から北国っ子です。

今まで壁を感じた相手とも一気にゆるい関係を築けるかもしれません。

このゆるさ全開の「あずましい」はどんな感じで使わているのか、身近な例文を使ってご紹介します。

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「あずましい」の基本的な意味からお届け!

「あずましい」は「なんだか居心地が良いな~」という時に使います。

アズマシ

【①気持ちがよい・居心地がよい

 ②満足であるさま・十分なさま

 ③ゆったりしているさま・余裕があるさま 

④心置きがない】

引用元:岩内方言辞典 見野 久幸著

わたくし、「居心地が良い」という言葉を日常会話に取り入れた記憶がありません。相手からも聞いたことがありません。

それほど「居心地が良い」に代わる「あずましい」は北海道で日常的に使われている方言なのです

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具体的に見てみよう!使うタイミングと使い方は?

では、どんな感じで使うのかを具体的にご紹介します。

部屋の居心地は?

まずは標準語から↓

「何となくこの場所、窮屈なんですよね」

「このテーブルを移動したら、居心地が良くなるのではないですか?」

「そうですね!頭が良いですね!」

北海道では↓

「なんかこの場所、窮屈なんだわ」

「このテーブルどけたら、あずましいんでない?」

「そだね!あったまいい!」

一気にゆるい会話に変貌することがおわかり頂けましたか?

また、北海道民は「移動する」ことを「どける」「よける」と言います。

「そだね」は言わずもがなですね。

北海道では友人間で「そうですね」を使うと、一気に溝ができるので注意しましょう。

旦那や子供が旅行に行くと?

まずは標準語です↓

「なんですって、旦那さんも子供も泊りがけで旅行ですか?それは、居心地が良いでしょう!」

これが北海道では↓

「なに、旦那も子供も泊りがけで旅行かい?そりゃ、あずましいっしょ!」

道産子歴50年以上の私たち、こんな会話になんの違和感もありません。

この標準語が正解なのか、道産子過ぎる私には自信がないのですが、「あずましい」はこのような感じで使います。

上司にも使える?

そして、職場の上司と会話する時は「そだね」は使いませんが、「あずましい」は「です」をつけて「いかにも敬語を使ってます」ふうに使います。

「新しい給湯室の使い心地はどうだい?」

「はい社長、たいしてあずましいです。有難うございます」

年配の社長さんには、むしろこの会話の方が自然です。

「たいして」は反対の意味にも使える上級者向け

ここでの「たいして」は「とても」「すごく」という意味ですが、時には「あまり」「ほとんど」という正反対の意味で使います。

「どっちの服着ても、たいして変わんないしょ!」

「どちらの服を着ても、あまり変わらないでしょう!」

会話の当事者は「たいして」に正反対の意味があることに、たいして気が付いていません。

北海道以外でも言う?あずましいはどこから来た方言?

北海道だけでなく青森県の津軽地方でも「あずましい」と言い、同じ意味で使われています。

 ≪青森県から伝播し、北海道全域に広がった方言で、北海道では「アズマシイ」よりも「アズマシクナイ」と否定形で使われることが多い。

青森県では「アズマシイ」が優勢である。/広々とした大地を背景にして、ゆったりとくつろいだ状態にあることを当然のこととする北海道人にとって、精神的な状況にない場合には、自己の感情を直接的に表し、「アズマシクナイ」という語を発することになるようだ。

いわば北海道人の気質が生み出したことばであると言えるだろう。(夏井邦男)≫                                                                                                     

引用元:岩内方言辞典 見野 久幸著

青森県は「あずましい」、北海道では「あずましくない」を使う機会が多いと書いてあります。

ただ、北海道民の私個人としては、どちらも同じくらい使っています!

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あずましいの反対語「あずましくない」の使い方は?

「あずましい」の反対、「あずましくない」はこのように使います。

まずは標準語から↓

「○○さんがいると、居心地が良くないですね?」

「そうですね。何を話して良いのか、わからないですね!」

これが北海道では↓

「○○さんがいると、あずましくないよね?」

「そだ。何しゃべっていんだか、わかんないもね!」

陰でこんな会話をされない人間に私はなりたい。

「そだね」を何故か短めに「そだ」、「いいんだか」を短縮して「いんだか」とも言います。

また、「しゃべる」を辞典で調べると、「ペラペラと話す」や「うっかり話す」と軽い意味合いになりますが、北海道民は深刻な状況でも「しゃべる」を使います。

「あずましくない」と同じ意味合いの「いずい」の上手な使い方はこちらをどうぞ。

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まとめ

北海道民にとって「あずましい」は「居心地が良い」という気持ちを表すのに便利な言葉です。

反対語の「あずましくない」も「居心地が悪い」時に良く使う言葉です。

広々とした土地に住む北海道民は、常にあずましさを求めています。

そして、あずましくない場所で、あずましくない気持ちになることが苦手です。

そんな時、「ここ、あずましくないから帰るわ。したっけ!」と帰ってしまっても、「あずましくないもねー仕方ないしょ。そしたらね~」と許されるのです。

こうして多少張り付いた場面でもゆるくしてしまう力を持つ北国の方言。

あなたもマスターして是非、あずましい環境であずましい日々を送ってください。

以上、北国のゆる~い方言「あずましい」と「あずましくない」でした。

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