諸行無常は聞いたことがあっても、若い人や大成功してる人にとっては気にとめない四字熟語かもしれません。私もうんと若い時に出会ってはいるものの、全然気にしてませんでした。
今、あらためて意味を調べると「いやだ、この世の中ってやっぱりそうなってるんだ~知らなくて良かったかも」って思いました。
だって、すんごく成功してもいずれ落ちるんでしょ?それなら大成功じゃなくて、ほどほど成功した方がショックは少ないかも?テッペンから落ちるって辛いですもん。
若い人にこんな渋い四字熟語を座右の銘にしましょうとは言いません。私みたいに最初から土俵を降りようとはせず、大成功を夢見て頑張って欲しいです。ではどんな方にお勧めなのでしょう?
この記事では所業無常(しょぎょうむじょう)の意味、座右の銘としてお勧めな方、由来、類義語をご紹介します。
諸行無常(しょぎょうむじょう)の意味を味わおう
諸行無常の意味を調べてみました。
しょぎょう-むじょう【所業無常】
意味仏教で、この世の万物は常に変転し、しばらくもそのままにとどまっていないこと。人間の世のはかないことをいう。
構成「所業」は、もろもろの変化するものの意味で、万物。「無常」は、いっさいのものが変転して、定まらないこと。
引用元:大修館 四字熟語辞典
諸行無常の意味は、「この世の物は常に変化しており、少しもそのままではないこと。人の世がはかないこと」になります。
諸行無常は有名なので、皆さん一度は聞いたことがありますよね。そして、いつ習ったか覚えていないのに次の言葉が思い浮かびませんか?
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」
あれ?何だったかな?と調べてみたら、平家物語の冒頭にありました。
祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の鐘(かね)の声、諸行無常の響きあり、沙羅双樹(しゃらさうじゅ)の花の色盛者必衰(じゃうしゃひっすい)の理(ことわり)をあらはす。おごれる者久しからず、ただ春の夢のごとし。猛(たけ)き人もつひには滅びぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
引用元:平家物語ビギナーズラック日本の古典 角川ソフィア文庫
祇園精舎とは、釈迦が弟子たちと住んで教えを説いた寺のことです。
「祇園精舎の鐘の響きには、この世の全てが変化するという真実を告げているようだ。勢いのあった者も春の夜の短い夢のように、必ず衰えるものだ」と書いてあります。
大成功とまでいかなくとも人である限り、得意の絶頂にいてもその状況は長く続かないということです。確かに、NHKの「鎌倉殿の13人」を観ても世の無常を感じます。
偉くなってもいつか終わりが来るのであれば、みんな仲良く手を組んで生きた方が楽しくて幸せですよね。

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諸行無常が座右の銘にお勧めな方は?
こんな方に諸行無常を座右の銘にすることをお勧めします。
- 人生とは何ぞや?と常に考えている方
- 将来、仏門に入りたい方。もしくはお寺に就職したい方
- 「鎌倉殿の13人」に多大な影響を受けている方
- 今まさに人生の頂点にいるけど、だからと言って浮かれたくない方
- 自分はただ者ではないんだとアピールしたい方
所業無常は若い人ににとっては渋すぎますが、子供部屋に「諸行無常」が飾ってあったら、「こやつ、ただ者ではないな」と家庭訪問に来た先生にも一目置かれるでしょう。
また、諸行無常は仏教の教えなので、「お寺」や「悟り」という言葉に惹かれる方にはピッタリだと思います。「今ノリに乗っているんです」という方にとっても、よい教訓になるのではないでしょうか?

天下取ったぞ~!

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諸行無常の由来は有難い説法から
諸行無常の由来は、景徳伝灯録(けいとくでんとうろく)にあります。景徳伝灯録とは、禅宗の僧侶の伝記であり、30巻からなる歴史書です。
出典并(あは)せて無常の偈(げ)を説きて曰(い)はく、諸行無常、是生滅法(ぜしょうめっぽう)、生滅滅已(しょうめつめつい)、寂滅為楽(じゃくめついらく)、と。〈景徳伝灯録、一、釈迦牟尼仏〉
引用元:大修館 四字熟語辞典
「作られたものは無常で常に変化する。生まれては滅していくことが本質である。生まれるものも滅するものもなくなり、静まることが安楽(悟り)である」とあります。
涅槃経にある「諸行無常 是生滅法 生滅滅已 寂滅為楽」を雪山偈(せっせんげ)と言います。これは「雪山童子(せっせんどうじ)」という釈尊の説法に出てくるので、そう呼ばれるようになりました。
この雪山童子は、釈尊が過去世で修行していた時のお話です。
鬼に姿を変えた帝釈天(たいしゃくてん)が、童子が切望する雪山偈を教える話です。空腹の鬼が童子を食べる代わりに雪山偈を教えるという約束をしました。さて、童子はどうしたでしょう?という興味深いお話です。ぜひ調べて読んでみてください。

帝釈天です。一時はどうなることかと思いましたよ
諸行無常の類義語にしみじみするよ
諸行無常の類義語も、仏教の教えである人生のはかなさをあらわしています。
- 生死無常(しょうじむじょう)人生がはかないこと。
- 無常迅速(むじょうじんそく)世の移り変わりが速やかになる。人の死が早く訪れること。
- 老小不定(ろうしょうふじょう)老人も子どももいつ死ぬかわからないこと。

老小不定だもの、食べるっきゃないでしょ!
まとめ
諸行無常の意味は、「この世の物は常に変化しており、少しもそのままではないこと。人の世がはかないこと」です。
仏教、悟り、お寺などの言葉に惹かれる方、人生とはなんぞやと日々考えている方の座右の銘としてお勧めします。
由来は、景徳伝灯録の「諸行無常 是生滅法 生滅滅已 寂滅為楽」にあります。帝釈天が鬼に姿を変えて、釈迦の過去世である童子を試した話も興味深いです。
類義語には、生死無常、無常迅速、老小不定など人生のはかなさをあらわす四字熟語があります。
この記事では所業無常(しょぎょうむじょう)の意味、座右の銘としてお勧めな方、由来、類義語をご紹介しました。

