「そうなん」は「そうなんです」の意味と言われれば納得ですね。言い方は地域によって様々ですが、スムーズな会話をするうえで大切な役割を果たす方言です。
お笑い芸人さんがよく言う「そやねん」や、NHKの朝ドラ「カムカムエブリバディ」の安子が話す岡山弁は「そうなんじゃー」でした。
さて、各地で形を変えて使われている「そうなん」ですが、なぜか私の住む北海道ではポピュラーではありません。
北海道で使うにはどうも抵抗があるようです。その理由を自分なりに考えてみました。
この記事では、「そうなん」の地域ごとのバリエーションと「そうなん」だけを使った会話例、そして北海道で浸透しない「そうなん」に代わり、活躍している相づちをご紹介します。
「そうなん」は地域によって言い方が違う!
肯定形「そうなん」は地域によってなんて言う?
「そうなん」は「そうなの」「そうなんです」という意味で使われていますが、地域によって様々なバリエーションがあります。
表にまとめてみましたが、中には和歌山県の「そうなんじょ」を省略した「なんじょ」のように「今の若い方は使いません」という言い方もあるので、ご了承ください。
新潟県 | そうなん そういん そいがー(長岡市) |
群馬県 | そうなん だったん なんなん |
埼玉県 | そうなん そうだがね そうだいねぇ |
栃木県 | ぞっけー |
長野県 | そうだなうん そうだにー |
岐阜県 | そうなんやー |
関西地方 | そうなんや そやねん せやねん |
広島県 | そうなん |
岡山県 | そうなんじゃー |
和歌山県 | そうなんよ そうなんじょ なんじょ |
山口県 | それですいね それいね それっちゃ それかの それそれ |
島根県出雲 | そげそげ そげだわね |
香川県 | そうなんやー |
徳島県 | そうなん |
愛媛県 | そうなんよ ほやけんよ |
福岡県 | そうなんやね そうっちゃんねー そうと そげんね そうや |
「そうなん」このたった4文字が地域によって「そういん」になったり、「ぞっけー」へ変換されていることは興味深いです。
「もはやこんな言い方しませんよ!」とか、「私の住む地域ではこんな言い方するよ!」という方がおられましたら、ぜひ教えてくださいね!
疑問形「そうなん?」を使いこなす地域は?
同じ「そうなん」でも、語尾を上げると疑問形になりますね。
「そうなん」のレパートリーが多い山口県や島根県出雲地方では、疑問形「そうなん?」もいろいろな言い方があります。
山口県
- それかの?(そうなのか?)
- それですか?(そうなんですか?)
島根県出雲市
- そげかね?(そうですかね?)
- そげだらか?(そうでしょうか?)
特に、出雲弁は北海道弁なんて足元にも及ばないほど数があります。
なんとも温かみのある方言がたくさんあり、子供の頃に好きだった日本昔話を思い出しました。
中級者は「そうなん」だけで会話を成立させることができる!
「そうなん」の肯定形と否定形、これは「そうなん初心者」にも使いこなせそうです。
中級者になるとビックリした表情で「そうなん⁉」、時には聞こえないほどの小声で「そうなん・・」と抑揚や表情に注意すれば、家族や友人同士の会話が立派に成り立つのではないでしょうか?
例えば、
「このチョコレート美味しいよ」
「そうなん?」(期待しつつ、ちょっと疑う抑揚)
「ポリフェノールたくさんだから、カラダにもいいよ」
「そうなん!」(嬉しい驚きの表情を忘れずに)
「でも食べ過ぎは禁物。砂糖も入っているんだから」
「そうなん・・・」(心底ガッカリした気持ちで)
もし、仕事で疲れていたり、眠い時に相手から会話を求められた時には、この「そうなん」戦法で乗り切りましょう。
ただし、棒読みや無表情では相手に見抜かれて、よけい気まずくなるので注意しましょう。
「そうなん」に代わる「うそ」「ほんとに」の使い方!
実は北海道では「そうなん」はめったに使われていません。
では、お上品に「そうなんですね」を使っておられるのですね?と言われれば、残念ながら違います。
北海道では「そうなん」に代わる言葉として「うそ」「ほんとに」があります。
「そうなん」より短い単語ですが、その時の気分に応じてどちらでも使うことができます。
この場合、思い切り「うそ!」と言っても、相手はそれほど傷つきません。
「このチョコレート美味しいよ」
「ほんとに?」or「うそ?」(期待を込めて言うのがミソ)
「ポリフェノールたくさんだから、カラダにもいいよ」
「ほんとに!」or「うそ!」(やった~!)
「でも食べ過ぎは禁物。砂糖も入っているんだから」
「ほんとに・・・」or「うそ・・」(なんてこった・・)
北海道の日常会話では「そうなんですね」と普通に言える人以外は、この「うそ」「ほんと」を多用して会話を乗り切ろうとします。
北海道弁に「そうなん」が浸透しない訳は?
私なりに道産子が「そうなん」を使わない理由を考えてみました。
「新しい物好きで、なんでもこだわりなく取り入れる」と言われる北海道に住む私たち。
でも、「そうなん」を使わない理由は、「シッタカ(知ったかぶり)してるように思われたくないから」ではないかと思うのです。
例えば、ずっと北海道に住んでいるのに、修学旅行で1週間大阪にいただけで、すっかり大阪弁になってしまった。(私です)
または、近所の大阪弁を話す人と5分会話しただけで、テレビで聞いたような大阪弁が口から飛び出す。(私です)
そして、「あんた、大阪弁知らないのに、なに適当にしゃべってんのさ!」と家族に笑われた。(私の家族です)
こんな経験ありませんか?(私だけなのでしょうか?)
実は北海道民からすると、大阪弁は聞きなれない言葉ですが、その軽快な喋りに内心憧れを抱いている人も多いのです。
そんな憧れの大阪弁を、少し接点を持ったからと言って、知ったかぶりをして話すことがとっても恥ずかしい!
内気でシャイな道産子は「なまら」「だべさ」は使えても、「そうなん」「そやね」を使うのは抵抗があるのです。
こちらが私が考える、北海道に「そうなん」が定着しない理由です。
まとめ
「そうなん」は「そうなんです」の意味ですが、各地にはバリエーション豊富な「そうなん」が散らばっており、味わいのある方言です。
その土地特有の言い回しを知るにも、わかりやすい方言ではないでしょうか。
そして、「そうなん」と相づちを打つだけで家族や友人との会話は成立します。
「聞いて欲しい」、特に「口をはさまずに聞いて欲しい」と相手が思っていると感じたら、余計なことは言わず「そうなん」に集中しましょう。
北海道では、都会的な「そうなん」「そやね」に憧れを抱きつつ、使う勇気はありません。
「だべさ」と言う若者は少なくなりましたが、思わず出てしまった時は暖かい目で見守ってください。
それでは、「そうなん」に縁のない北海道から、各地の「そうなん」の言い方と、「そうなん」を駆使した会話例、そして「そうなん」に代わる北海道の相づちについてご紹介しました。