「そしたら」は方言とばかり思っていたら、どうやら違うようです。
星野源さんの「そしたら」を聴くと、方言という独特のイントネーションではなくて、自然でさらりとした「そしたら」です。
「これはいったい、どうなっているんだろう?」と思い、方言辞典と国語辞典、広辞苑を調べてみました。
その結果、「そしたら」についてわかったことがあります。
ちょっとこんがらがってしまいそうですが、「そしたら」には二つの顔があって、それぞれ意味も違います。
そのため、日常的に「そしたら」を方言として使っている方が、星野源さんの「そしたら」を聴くと、ちょっと違って聴こえるのかもしれないなと思いました。
この記事では、「そしたら」の二つの顔、そしたら会話例、各地域で使われる「そうしたら」の方言についてご紹介します。
「そしたら」が持つふたつの顔
方言辞典、国語辞典、広辞苑で「そしたら」を調べてみました。
そうすると、「そしたら」は方言と俗語の二つの顔を持っていました。意味もそれぞれ違います。
方言辞典の意味
方言辞典にある「そしたら」の意味は「そのよう」です。青森県津軽地方の方言となっています。
そのよう【其様】
(中略)
そしたら 青森県津軽「そしたらおなごさ、なげるじぇんこあったら(そんな女に、捨てる銭があったら)」
引用元:日本方言辞典 小学館
「そしたらおなごさ(そんな女に)・・」や、「そしたらことして(そんなことをして)何になるの」など、この場合の「そしたら」は、「そのような」「そんな」という状態や状況をあらわす意味になります。
国語辞典の意味
国語辞典にある「そしたら」の意味は、方言辞典の「そのよう」とは違います。
そしたら
(接続)【俗】
①そうすると。すると。
②そうなったら。そうすれば。
引用元:三省堂国語辞典 金田一京助著
「そうすると」「そうなったら」という接続詞の意味で俗語となっています。
俗語とは、広く世間で使われている、くだけた言葉という意味です。
広辞苑の意味
広辞苑では、「そうしたら」の約(省略の意味)となっています。
そ-したら【然したら】
⦅接続⦆ソウシタラの約。
引用元:広辞苑第七版 岩波書店
こちらの解説が、いちばんシックリくるのではないでしょうか。
星野源さんの歌も、この「そしたら」なのでしょう。
歌詞を「そうしたら」へ入れ替えて想像してみました。意味は同じですが、「そしたら」の方が俄然、テンポがよくて、親近感がわくように思います。
そしたら、くだけた会話を見てみよう
どちらも、「そうしたら」に置き換えて、どんな感じになるか比べてみてください。
「そうしたら」より親近感アップ?
「そしたら」でスピード感アップ⁉
バレーボールの試合中、そもそも「そうしたら」は使わないでしょう!という声は無視させて頂いて、「そしたら」がもたらす親近感、スピード感は伝わりましたか?
このように、くだけたい場面で「そしたら」は有効ですが、反対に、あらたまった場面では「そうしましたら」や「そういたしましたら」を使いましょう!
「したら」「したっけ」も子供です
「そしたら」の親である「そうしたら」には、各地に子供たち(方言)がたくさんいます。
- したら
- したっけ
- したえば
- したきゃ
- したけ
- したけぁ
- したば
- したばしゃ
- したらば・したれば
- したんば
- すたばしぇ
- へたへた
- ほっとと・ほいと
「したら」「したっけ」は、北海道、青森県、秋田県、宮城県の方言となっています。
「したら、こんな事があってさ」「したっけ、全然ダメだったよ」など、接続詞として使うほか、「さようなら。またね」の代わりに使います。
別れ際、「したらね」「したっけ」と言いながら軽く手を振ると完璧です。でも、使う相手は友人と2親等までにしておきましょう。目上の人に使ってしまった場合、いかなる責任も負いかねます。
「したらな!」
「したっけ~」
まとめ
「そしたら」には、方言と俗語の二つの顔があり、意味も違います。
方言では「そのような」という状況を表す意味になり、俗語では「そうすると」「そうしたら」という接続詞の意味になります。
特に、「そうしたら」が省略された「そしたら」は、全国的に広く使われている俗語です。
「そうしたら」には、地域ならではの方言もたくさんあります。
その中でも、北海道や東北地方でよく使われる「したら」「したっけ」は、接続詞で使う場合と、「さようなら。またこんど」と同じ意味の挨拶として使う場合があります。
この記事では、「そしたら」の二つの顔、そしたらの会話例、各地域で使われる「そうしたら」方言についてご紹介しました。